[痛風の本]図解でわかる 痛風・高尿酸血症 2週間メソッドつき

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谷口敦夫 牧野直子 監修/主婦の友社/2012年/¥1,300+税

【中古】afb_【単品】_図解でわかる痛風・高尿酸血症―尿酸値を下げる2週間メソッドつき _谷口敦夫/牧野直子

価格:120円
(2017/1/9 19:13時点)

「2週間メソッド」ってなんだろう…? 無知ですみません。

メソッド、メソード (method) とは、方法、方式のこと。

ウィキペディア「メソッド」より

直訳?で「2週間方式」となります。これで日本語的には合っているのでしょうか? 意訳すれば「2週間で尿酸値を下げる方法を組み込んだ料理の作り方」となるようです。この本のうしろ3割が健康レシピなので。

つまりこの本は痛風の解説と、痛風予防の料理レシピを合わせた1粒で2度おいしい本、なのです。

本の大きさが210mm×ヨコ185mmで、横幅が広めです。なぜ幅広なのかというと、おそらく「メソッド」のためでしょう。料理の写真とレシピの文字バランスを考えてのことと思います。

この本の特色はやはりその「メソッド」で、肉、魚、野菜、種類も多くバランスが良い健康料理が並び、写真もきれいで食欲がわきます。これでは食べ過ぎるなという「メソッド」に反してしまいそうです。例えばこれらの料理がローテーションで繰り返し家庭の食卓に出てきたとしても「またか…」とか「あきた…」には絶対なりません。「もっと!」としか言えないくらい数と工夫に富んだ素晴らしいレシピです。さすが主婦の友社。

痛風・高尿酸血症の本にもかかわらず、この「メソッド」部分ではプリン体のことをまったく取り上げておらず、プリンのプの字も出てこないのが潔いです。食品のプリン体は尿酸値にあまり影響ないですからね。本文でも扱いはサラッとしてます。それより低カロリーで肥満解消を目指したレシピに徹しており、健康志向のすべての人にお勧めできます。このレシピに興味があれば買いです。

…「メソッド」のことばかり述べてしまいましたが、では痛風解説のパートはオマケなのかというと決してそうではありません。当然こっちがメインです。痛風の原因や症状から、診断と治療、生活習慣や食習慣の改善方法など、基本〜応用とわかりやすく解説されています。ちなみに見出しは、

Part1  よくわかる高尿酸血症・痛風の基礎知識
Part2  高尿酸血症・痛風の診断と薬物治療
Part3  高尿酸血症・痛風の合併症
Part4  日常生活で尿酸値を下げるコツ
Part5  食生活で尿酸値を下げるポイント
Part6  尿酸値を下げる2週間メソッド

という構成です。Part1〜6が痛風解説パート、Part6が「メソッド」です。

痛風パートは基本的に右ページが文による解説、左ページが図解で、全てカラーなので見やすいです。ただ幅広のためかどうか、左の図解ページにやや隙間が多いです。内容が無いということではなくて、レイアウトのことです。どうでもいいことかもしれませんが、なんとなくエコじゃ無い。イラストも、もうひと声ほしいというか、例えば腎臓のイラストとかもう少しちゃんと調べればいいのに…いや、内容とは関係無いですね。見た目の問題です。

こういう痛風を解説する本全般にいえることですが、医療のことを扱う限り、本によって内容が大きく変わるということはまずありません。医学的な事実から逸脱できない、する必要がないからです(中にはやや極端で楽しい内容の本もありますが)。

さりとて内容をあまり専門的にしすぎると、一般向けには難しすぎるモノになってしまいます。そこでホドホドに押さえるのですが、そのホドホドのラインが(当然かもしれませんが)どの本でも同じようなレベルになってしまい、ここでもまた本の特徴をなくします。

そんな中でも著者、または監修の先生方は、読者に対し、より多くの知識と情報をやさしく伝えるために努力と工夫を重ねておられます。それは一般向けでない論文などを読もうとするとよくわかります。誰気兼ねなく専門知識と研究結果をぶちまけておられるのでしょうが、何が書かれてるかさっぱりわかりませんから。専門用語だらけであれはもう日本語じゃないです。そんな内容をやさしく言いかえて伝えるのは逆に大変だろうなあと思うのです。

ということで、痛風解説の本(ならびに家庭の医学的な医療解説本全般)は、性質上内容に落差がつきにくい(全部一緒とは言いません)のですが、そのなかでも特色を出すにはどうすればいいか、それを形にしたのがこの本だと思います。よくあるパターンと言えばそれまでですが、丁寧に作られた「メソッド」パートの企画の勝利というべきか。

痛風の基本知識を得たい方で「メソッド」にも興味がある方はどうぞ。