痛風・高尿酸血症の合併症③

紅葉0392

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痛風・高尿酸血症の合併症③ 〜 命に関わる動脈硬化症/虚血性心疾患/脳血管障害

痛風はそれ自体、命を落とすような病気ではありませんが、合併症の進行によっては命に関わる場合があります。
かつて痛風からの死亡例は、痛風腎から腎不全となり尿毒症による死亡が多かったのですが、近年では薬物で効果的に尿酸値を下げることができるようになったので、尿毒症の比率が減り、かわって「動脈硬化症」による「虚血性心疾患」や「脳血管障害」で死亡する割合が増えています。

動脈硬化症

動脈硬化症とは、老化によって動脈が硬くなるとともに、動脈内に様々な物質がたまって血管が狭くなり、血液が流れにくくなる状態のことです。

動脈硬化症は誰にでもおこる老化現象ですが、食生活、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣と、糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病からも大きく影響をうけます。これらの要素が重なると、より動脈硬化のリスクが高まります。

高尿酸血症の影響としては、尿酸値が高い状態がつづくと血管内に炎症をおこし、動脈硬化を進めると考えられています。そして動脈硬化症は虚血性心疾患と脳血管障害の原因ともなるのです。

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)」とは、心臓の筋肉(=心筋)に血液を送っている冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり詰まったりして、心臓に十分な血液が流れず(=虚血)必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまう状態をいいます。「狭心症(きょうしんしょう)」や「心筋梗塞(しんきんこうそく)」も虚血性心疾患の一つです。

狭心症は、動脈硬化などにより冠動脈の血流が悪化して、心臓が一時的に酸欠になる状態のことです。心筋梗塞は血流がほぼ止まってしまい、酸欠で心筋の一部が壊死するまでになった状態で、突然死につながる怖い病気です。

脳血管障害(脳梗塞)

脳血管障害は、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」と、脳の血管がつまる「脳梗塞」に大きく分けられます。

高尿酸血症・痛風と関わりが深いのが脳梗塞です。脳梗塞とは、脳の血管が細くなったり詰まったりして、酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が壊死してしまった状態です。

脳梗塞は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙によっておこりやすくなります。そして高尿酸血症・痛風で尿酸値が高い場合、血液の粘度があがり、血栓ができやすくなるので、脳梗塞になりやすくなります。


日本人の死亡原因は多いものから、がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患です。このうち高尿酸血症・痛風と合併しやすいものに心疾患、脳血管疾患があり、そこには生活習慣が大きく影響しています。食生活、運動、喫煙など生活習慣を見直すことが治療の基礎となるのです。

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