痛風・高尿酸血症の合併症②

柿0430
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痛風・高尿酸血症の合併症 〜 生活習慣病との併発

高尿酸血症・痛風は食習慣、飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどの影響を大きくうける生活習慣病のひとつです。
そして同じく生活習慣病の「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」などを合併して、影響を受け合い、たがいを悪化させることがあります。

糖尿病

糖尿病はインスリンという血糖をコントロールするホルモンの作用が低下して血糖値が異常に上がる病気です。

糖尿病には、インスリンがほとんどつくられなくなる1型と、インスリンがうまく働かなくなる2型があり、日本人ではほとんどが2型です。
2型糖尿病は、多くが食べ過ぎ、運動不足による肥満をきっかけに発症します。とくに内臓脂肪型肥満になると、インスリンが正常に働かなくなる「インスリン抵抗性」をおこしやすくなり、血糖値が下がらない状態がつづきます。これを「耐糖能異常」といい、糖尿病予備軍といえます。

「尿酸増加の原因:補足」のページでも少しふれましたが、インスリン抵抗性がある場合、インスリンを普通に分泌しても効かないので、効かせるために分泌が多くなり、体内のインスリンが過剰になります。これを「高インスリン血症」といい、それが原因で腎臓の尿酸排泄能力がさがるので、高尿酸血症が進みます。このように生活習慣病同士が病状を悪化させるのです。

高尿酸血症・痛風と糖尿病が合併する割合は高くはないのですが、予備軍の耐糖能異常は多くみられます。つまり高尿酸血症・痛風は、糖尿病の危険を知らせる信号ともいえるわけです。

高血圧症

高血圧症とは慢性的に血圧が高い状態が続くことをいいます。最大血圧が140mmHg以上、もしくは最小血圧が90mmHg以上で、この片方でも当てはまれば高血圧症の状態です。

高血圧症は高尿酸血症・痛風と合併しやすい病気です。その理由のひとつにナトリウム(食塩の主成分)の影響があります。
生活習慣の影響で内臓脂肪型肥満になると、高インスリン血症になりやすくなります。その影響で腎臓から尿酸の排泄が低下しますが、同時にナトリウムの排泄も低下します。結果体内のナトリウムが増えるのですが、濃度を一定に保とうとするため心臓からの血液量が増え、そこで高血圧が生じます。

腎臓には増えすぎたナトリウムを排泄するために負担がかかります。そのうえ尿酸値が高いと尿酸が腎臓に沈着して腎機能が低下することがあります。そうするとナトリウムの排泄も低下し、また血圧が上がります。ここでも高尿酸血症・痛風と高血圧症との悪循環が生じるのです。

脂質異常症

脂質異常症とは血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が増えすぎる病気です。脂質異常症には、
・中性脂肪が多い = 高中性脂肪血症
・LDL(悪玉)コレステロールが多い = 高LDLコレステロール血症
・HDL(善玉)コレステロールが少ない = 低HDLコレステロール血症
の3タイプがあります。

脂質異常症は食習慣や運動不足などの生活習慣が原因でおこり、それは高尿酸血症・痛風の場合と共通します。痛風患者の5割〜7割に脂質異常症があるといわれています。

脂質異常症になると増えすぎた脂質が血管に付着して「動脈硬化症」をおこしやすくなります。それが進行すると「虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)」や「脳血管障害(脳梗塞 等)」がおこりやすくなります。これらは命にかかわる病気で、高尿酸血症・痛風の患者が死亡する原因のトップということです。
この動脈硬化症など血管の障害については次の「痛風・高尿酸血症の合併症③」にまとめたいと思います。

これらの病気を防ぐには、薬剤による治療と共に、生活習慣や肥満を改善し、地道に自己管理を続けなければなりません。しかし、わかっていてもなかなか変えられないのが習慣です。そんなときに痛風の強烈な痛みがくれば、嫌でも自分の健康状態が気になってきます。痛風はある意味、生活習慣を見直すよいきっかけといえるのかもしれません。2度とゴメンですが。

ここで一句。

痛風も 意外といいトコ あるかもね?

(…いや、2度とゴメンです)

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