痛風・高尿酸血症の治療 〜 尿酸値を下げる薬(=尿酸降下薬)

トピロリック
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尿酸値を下げる薬=尿酸降下薬

痛風・高尿酸血症は、体内の尿酸が増えることで起こります。薬物治療としては、尿酸を減らし、尿酸値を下げることが基本方針となります。

尿酸値を下げるための薬(=尿酸降下薬)は、①尿酸の生成を抑える薬(=尿酸生成抑制薬)と②尿酸の排泄を促す薬(尿酸排泄促進薬)の大きくふたつに分かれます。
痛風・高尿酸血症には「尿酸産生過剰型」と「尿酸排泄低下型」の、これも大きく分けてふたつのタイプがありますが、原則として、それぞれのタイプによって薬を使い分けることが効果的とされます。すなわち、

尿酸が過剰につくられるのを抑える薬=尿酸生成抑制薬
→「尿酸産生過剰型」の患者に使う
尿酸の排泄を促す薬=尿酸排泄促進薬
→「尿酸排泄低下型」の患者に使う

という具合です。ただ、この使い分けに従った場合に副作用が懸念されるときは、組み合わせを変えて薬を使用します。①の尿酸生成抑制薬を②の尿酸排泄低下型の患者に使用しても尿酸値は下がることが報告されています。

①尿酸の生成を抑える薬(=尿酸生成抑制薬)

尿酸生成抑制薬は原則として「尿酸産生過剰型」の患者に使われます。現在「アロプリノール」「フェブキソスタット」「トピロキソスタット」の3種類の薬があります。

アロプリノールは3つのうち最も古い痛風薬です(1969年発売)。腎臓への負担が大きいため腎機能が低下した人が使うと副作用が出るので、用量を調節する必要がある、とされています。しかし用量を減らすと尿酸値も下がりにくくなります。
フェブキソスタット(2011年発売)とトピロキソスタット(2013年発売)は日本で開発された新しい薬です。これらの薬は腎臓への負担が少ないので、重い腎機能障害がなければ用量を減らす必要はありません。

尿酸生成抑制薬[原則尿酸生成過剰型患者に使用]

一般名商品名発売年特徴・副作用 等
アロプリノールザイロリック
など
1969腎臓病患者には用量に注意。発疹・肝機能障害等の副作用
フェブキソスタットフェブリク2011効果が強い。腎臓への悪影響が少ない
トピロキソスタットウリアデック
トピロリック
2013効果が強い。腎臓への悪影響が少ない

②尿酸の排泄を促す薬(=尿酸排泄促進薬)

尿酸排泄促進薬は原則として「尿酸排泄低下型」の患者に使われます。現在「プロベネシド」「ブコローム」「ベンズブロマロン」の3種類の薬があります。

プロベネシドはもともと、抗生物質のペニシリンが高価であった時代、ペニシリンの血中濃度を維持するために作られた薬です(つまりペニシリンの効き目が長持ちします)が、尿酸の排泄も促します。ペニシリンのほかインドメタシン、リファンピシンなど抗生物質の成分が体外へ排泄されにくくなる(効き目が長持ちする)ので、これらの薬とプロベネシドを併用するときは注意が必要です。
ブコロームは非ステロイド抗炎症薬(痛み止め)として開発された薬ですが、尿酸の排泄を促す作用もあります。いわゆる血液をサラサラにする「ワルファリン」と併用すると、ワルファリンの効果を強めてしまう働きがあるので注意が必要です。頻度は低いですが胃腸障害の副作用があります。
ベンズブロマロンは尿酸排泄作用が最も強く、広く使われています。ブコロームと同じくワルファリンの効果を強める働きがあるので注意が必要です。副作用の頻度は低いとされますが、劇症肝炎など重篤な肝障害の例があるので、肝機能が低下している患者には使用せず、投与開始6ヶ月間は定期的な肝機能検査が義務付けられています。

尿酸排泄促進薬を使うときは、尿路結石に注意する

尿酸排泄促進薬を使用すると、尿中に排泄される尿酸が増え、尿路結石ができやすくなります。結石を予防するためには水分を多く摂って尿量を増やすとともに、尿アルカリ化薬を併用します。尿酸はアルカリに溶けやすく、結晶化しにくくなるからです。
すでに尿路結石がある場合は、尿酸生成抑制薬を使います。

尿酸排泄促進薬[原則尿酸排泄低下型患者に使用]

一般名商品名発売年特徴・副作用 等
プロベネシドベネシッド1956ペニシリン系抗生物質との併用に注意
ブコロームパラミヂン1967ワルファリンとの併用に注意
ベンズブロマロンユリノーム 等1979効果が強い。ワルファリンとの併用に注意

尿酸値を急に下げると、痛風発作がおきることがある

尿酸降下薬の使いはじめ、急に尿酸値を下げると痛風発作が起きることがあります。これは、尿酸値が下がって体内の尿酸の濃度が下がると、関節に沈着する尿酸塩結晶がはがれやすくなるからだと言われています。
痛風発作を引き起こさないように、どの薬を使う場合でも最初は少量から使いはじめます。尿酸値を見ながら少しずつ量を増やし、3〜6ヶ月かけて尿酸値を6.0mg/dL以下に維持できるように調節します。維持できる薬の量がわかったら、その量で服用を続けます。
もし尿酸降下薬を使用中に痛風発作が起きても、薬の服用は続けます。薬の服用をやめて尿酸値が上がった場合、痛風の症状がさらに悪化する可能性があるからです。痛風発作は尿酸値が極端に上がった場合、下がった場合の両方で起こることがあるのです。その場合は尿酸降下薬と並行して非ステロイド抗炎症薬を服用します。

【参照】
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版[2012年追補版]』 第3章 高尿酸血症・痛風の治療 2高尿酸血症の治療 2尿酸降下薬の種類と選択〈p83-87〉(日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会 編集/メディカルレビュー社/2012年)
『最新醫學別冊 診断と治療のABC 105 高尿酸血症・痛風』 第4章 管理・治療 高尿酸血症の治療薬〈p141-149〉(寺井千尋 企画/最新医学社/2015年)

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