痛風発作がおこる直接のきっかけ
尿酸値が7.0mg/dLをこえて高尿酸血症になると、尿酸が結晶化して関節に沈着していきます。関節に沈着した尿酸塩結晶が、あるきっかけで関節内の骨と骨の間のすきま=関節腔(かんせつくう)にはがれおちたとき、白血球が異物と認識して反応し、炎症がおこります。これが痛風です。
尿酸塩結晶がはがれ落ちなければ痛風はおこりません。なら、はがれ落ちないまま永久にその状態を保っててくれれば助かるのですが、そんなことができるかどうか、ちょっとよくわかりません。では、はがれ落ちる直接のきっかけとは、いったい何でしょうか? それも、実ははっきりとはわかっていません。しかし、
・尿酸値が急激に上昇、もしくは下降したとき
・強いストレスを受けたとき
・患部に物理的な刺激が加わったとき
・体温が低下したとき
・体内の水分が不足したとき
などの場合にはがれ落ちる、と考えられています。
尿酸値の急激な変化
尿酸値が急に上がるか下がるかすると、尿酸塩結晶がはがれ落ちやすくなるとみられています。尿酸値が上昇する理由については「尿酸増加の原因:補足」にまとめましたが、尿酸塩結晶がはがれ落ちる直接の原因としても考えられているので、あらためて記します。
尿酸値が急に上がる原因
激しい筋肉運動
筋力トレーニングや短距離走などの無酸素運動を行うと、ATPというエネルギー物質が消費されます。そうすると体内で多くのプリン体が生まれ、プリン体も分解されて尿酸ができ、尿酸値が急激に上がります。
また、運動をして汗をかくと、体内の水分が減るので、これも尿酸値を上げる原因となります。
過食、過剰なアルコール摂取
高タンパク、高カロリーの食事のとりすぎ、アルコールのとりすぎは、ともに尿酸値を上昇させます。お酒を飲みすぎたその晩に痛風発作がおきたという例も少なくありません。プリン体を含む食品を食べることは、尿酸の増加にさほど影響はありませんが、プリン体を多く含む食品を極端に過剰に食べた場合はそのかぎりではありません。
強いストレス
現代社会では、ほとんどの人が何らかのストレスを感じながら生活しています。人間関係や仕事上での強いストレスが尿酸値を上げて、痛風の原因になることがあります。
また、外科手術の直後に痛風発作がおきることがありますが、これも手術によるストレスの影響といわれています。
尿酸値が急に下がる原因
薬物治療
はっきりとした理由はわかっていませんが、尿酸値を下げるための薬を使いはじめた初期の段階で、痛風発作がおきることがあります。
物理的な刺激
患部付近の打撲やねんざ、長時間の歩行、きつい靴での足の締め付けなどが、痛風発作のきっかけになることがあります。
体温の低下〜就寝中に痛風がおきる理由
体温が下がると、尿酸塩の結晶化が促進され、そのために結晶がはがれおちやすくなるといわれています。
痛風発作は夜中から明け方にかけて寝ている間におこることが多く、それは就寝中に副交感神経が働いて血圧が下がり、血流が落ちて体温が下がった結果、尿酸塩結晶ができやすくなるからだと考えられています。
水分の不足
体内の水分が減少すると、血液中や尿中の尿酸濃度が上昇し、痛風がおこりやすくなります。
痛風は夏によくおこりますが、汗をかいて水分不足になることがその理由のひとつと考えられます。おなじく運動をしたあとや、長時間サウナに入ったあとにも水分不足によって痛風がおこることがあります。