痛風の原因は尿酸です。その尿酸は「プリン体」という物質からつくられます。
病気の原因を作るわけですから、プリン体は体に良くないモノとされて、プリン体を多く含む食事を制限されたり、プリン体オフのお酒ができたり、なにかと悪者扱いされてきました。私もずっとプリン体は悪玉だと思っていました。
しかし最近では、食品に含まれるプリン体は尿酸値にほとんど影響がない、とされています。
食品のプリン体は尿酸値にあまり影響がない
そもそもプリン体はつねに体内で作られています。食べて体に入るのは全体の量の2割ほどで、しかもほぼ腸で分解されて排泄されます。プリン体を多く含むものを連続して大量に食べないかぎり影響はない、ということです。
…いちおう強調しておきます。
プリン体は旨味の成分でもあるので、これを制限されるのは苦痛です。少し前までは極力食べるなと指導されていたわけですから、プリン体のはたらきを明らかにした科学の進歩というのはまことにありがたいものです。こうしてサンマ(意外にプリン体が多い)なども気にせず食べられるわけです。
尿酸はプリン体から作られる
プリン体とひとくちに言いますが、いくつか種類があるようです。
それぞれが体内のそれぞれの物質に含まれていて、聞き覚えのあるところでは、遺伝情報を含む「DNA」とか、聞き覚えはないですが、エネルギーを蓄えておく物質「ATP」とか、いずれにしろプリン体は生命活動に必要不可欠で極めて需要な物質なのです。決して悪玉ではないのです。
プリン体を含む物質が「代謝」によって分解されて、プリン体ができます。プリン体はそのまま体内で再利用されたりしますが、余分なものは肝臓など全身の細胞で分解されます。そしてできるのが「尿酸」です。
ちなみに「代謝」の意味ですが、看護roo! 様の 看護用語辞典 ナースPedia がわかりやすかったので引用させていただきます。
代謝(たいしゃ)とは、生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のことである。metaboilsm。様々な栄養素が合成・分解されていく過程を指す。
なお「新陳代謝」については、
「細胞の入れ替わり」を意味する表現である。
と、あります。
プリン体からできた尿酸はそれ以上分解されることはありません。最終代謝産物といわれます。つまり老廃物です。この老廃物の尿酸が増えすぎておこるのが痛風です。
では、尿酸が増えるきっかけ、理由は何でしょうか? 次の「尿酸増加のタイプと原因」にまとめたいと思います。
なおプリン体のプリン(purine)とお菓子のプリン(pudding)は関係ありません。