尿酸の重要な役割 〜 抗酸化作用
痛風は体内で尿酸が増えて、尿酸値7.0mg/dL以上の状態が長期間続くとおこります。尿酸はそれ以上体内で分解ができない最終代謝産物、つまり老廃物です。
尿酸の約7割は腎臓から、約3割は腸から体の外に排泄されます。腎臓へ送られた尿酸はそこで濾過されますが、そのうち尿と共に排泄されるのは約1割で、残りは再吸収されます。せっかく出したものをわざわざ戻してしまうわけです。
痛風持ちにとって尿酸はまさに悪玉といえるので、再吸収なんて余計なことせずにドンドン外に出しちゃってくださいよ、どうせ老廃物なんでしょ? なんて思いますが、実は尿酸には体内に残るべき重要な役割があったのです。
それは「抗酸化作用」です。
抗酸化作用とは、老化などの原因となる「活性酸素」を無害化する作用のことです。尿酸はただの老廃物ではなく重要な機能を持っているのです。
このように尿酸は必要があって体内に残るのですが、なぜ抗酸化作用が得られるのか、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。そして体内に残る量にしても、単に抗酸化作用を得るためだけなら血中に1mg/dLもあれば十分という説もあります[1]。
…じゃあ痛風にならない程度にもっと外に出してくれればいいのですが、そうはなっていません。なぜ尿酸は、必要以上に体内に残るのか、私にわかるはずもありませんが、尿酸の役割がまだ他にもあって、絶妙なバランスで体の機能が保たれている、ということなのでしょう。たぶん。
盲腸、じゃなくて虫垂だって、少し前までは無用の長物とされていたのに、実はそうでも無かったみたいですし。
世の中無駄なものなどない、ということでしょうか。
【参照】
[1]『最新醫學別冊 診断と治療のABC 105 高尿酸血症・痛風』(寺井千尋 企画/最新医学社/2015年)〈p107-108〉尿酸と抗酸化作用:尿酸値のとらえ方
『患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症』(日高雄二 監修/高橋書店/2014年)
『ウルトラ図解 高尿酸血症・痛風』(細谷龍男 監修/法研/2015年)